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【東信エリア①】長野県の「酒」と「文化」――浅間山麓の新たな熱源①

こんにちは!さんぽくんです。

信州は日本酒・ワイン・シードルなどなど魅力的なお酒がたくさん。
だけど、「お酒ってどう楽しめばいいの?」「酒屋さんってハードルが高そう」って思っている人も多いはず。

この連載コラムでは、長野県のエリアごとに、お酒の魅力と酒屋さんの楽しみ方などを酒屋さんにインタビューする形式でご紹介します!
エリアごとのお酒の歴史、観光のヒントなんかも知れちゃいます。

このコラムを読めば、酒屋さんによく人も、行ったことがない人も酒屋さんに行きたくなること間違いなしです!

連載第3弾は、東信(上田)エリアです。「地酒屋 宮島」宮島国彦さんにインタビューしました!
宮島さんは「日本酒サービス研究会認定 日本酒学講師」「日本酒サービス研究会認定 きき酒師」「FMとうみ 地酒番組ラジオパーソナリティ」でもあります。
宮島さんのインタビューを4回にわたって掲載いたします。

強烈な寒暖差と豊かな水脈 日本酒とワインの一大産地に

――東信地方と、地元のお酒の特徴について教えてください。

東信地方は、南佐久郡から始まって軽井沢、御代田、小諸、東御、上田、坂城、あとは酒販業界だと千曲も含まれます。「佐久盆地」「上田盆地」という言い方があるように盆地で、「おろし」が吹くから寒暖の差が激しく、冬は寒くて夏は暑い。上田市の菅平高原は日本一寒いけど(2023年1月26日に-27℃を記録)、今年ついに上田市は今年日本一暑い場所にもなりました(8月18日に観測史上最高の38.4℃を記録)。

 寒暖の差が激しいと、農産物が美味しくなります。上田に「なないろ野菜」という表現があるように標高の高いエリアから低いエリアまで本当に種類が豊富で、どれも美味しいんですよ。佐久盆地も米の産地として有名だし、八ヶ岳からの良質な水の供給があります。水が良ければ米が良い、米が良ければ酒がいい。それは上田にも佐久にも言えることでしょう。

 水は八ヶ岳以外に、千曲川もあります。最上流・川上村から流れてきて、北信州で犀川と合流してそのまま新潟へ。八ヶ岳と菅平水系の伏流水、あと上田市丸子には依田川という河川も流れています。酒米もこの地域では「ひとごこち」という品種と、長野県に品種登録されて一番新しい「山恵錦」という品種が主に栽培されています。

宮島酒店から望む風景。このエリアは真田氏発祥の地です。

あと、忘れてはいけないのはワイン。ワイン特区で「千曲川ワインバレー」があり、ワイナリーが加速度的なスピードで増え続けています。もともとは東御市で始まったんですが、今は上田、小諸、御代田まで飛び始めました。日本酒とワインに限って言えば、原材料も長野県内でほぼ確保できるようになってきています。皮肉なことに地球温暖化も手伝ってしまっているのですが。さらには国際的リゾート地の軽井沢もあり、アクセスの良さや立地、自然なども含めて、人が集まる条件がそろっていると思います。

圧倒されるほど多い数のお酒が綺麗に陳列されています。ワインもすごい数!

――その中でまず、この地域の日本酒の特徴はいかがですか?

「淡麗辛口」とまでは言わないまでもスッキリ系と、「濃醇甘口」のゴッツリ系の、ちょうど中間くらいのバランスです。意外に甘味、酸味、味の濃淡についても、個性が突出しているお酒は全体的に少ないと思います。

 それが一昔前の地酒の良さでもあったのですが、ここ十年来は大きく変わっています。醸造技術がどんどん新しく変革しているのに伴って、とてつもなく激しい個性的なお酒を作れるようにも逆になってきています。従来なら濃い味が好まれる地域の酒蔵さんでも、逆にスッキリと言われる淡麗系のお酒を作ることも技術的に可能。造る人たちが「誰をターゲットにするか」によって、内容を変えられる時代になりました。

 従来は味の振れ幅が少なかったので「あの場所に行くとあの酒を飲める」ということでよかったんでしょうけど、風味のバリエーションに欠けていたという言い方にもなるかもしれません。若い方とか女性の日本酒離れの一因がそこにあったとすれば、今はそこをターゲットとして振れ幅が広くなったと思います。

 日本酒に大切な水。長和町の和田峠にある黒曜石の水は全硬度0.95で「日本一の超軟水」ですが、酒造りはむずかしいとされています。「中硬水」の方がミネラル分が多く微生物が活動しやすいから、酒は造りやすいと言われています。その中で浅間山水系の水を使っている小諸の酒蔵さんは、県内約80の蔵元の中で一番硬い水を使っていると成分分析で証明されています。この硬水を使ったお酒が劇的に変わるのは、夏を越した熟成酒。「夏越し」と呼ばれる秋あがりの酒は、人気が出るのも間違いないでしょう。

宮島さん。説明がとてもわかりやすく思わず聞き入ってしまいます。

長野といえば、避暑地になる程涼しいイメージがありますが、
上田市が日本で1番暑い場所になったのは初めて知りました!
土地の特徴を理解すると、ますますお酒は楽しいですね。

【東信エリア②】へ続きます!