【北信エリア①】長野県の「酒」と「文化」――善光寺の門前から
連載第1弾は、北信(長野)エリアです。長野県小売酒販組合連合会会長の「高野酒店」高野さんにインタビューしました!
高野さんのインタビューを4回にわたって掲載いたします。
個性豊かな長野のお酒 食生活に合わせて進化
――長野県のお酒の特徴について教えてください。
長野県は大きく4つに区分されます。ここ長野市を含む「北信」、松本市などの「中信」、上田市や佐久市などの「東信」、そして諏訪市や飯田市などの「南信」。地域によってその表情や特徴は千差万別です。ただ長野県といえば「きれいな水と空気」という印象があるように、北アルプスの麓に位置する中信地方の蔵元はアルプスの伏流水を使うことが多いと思います。北信地方では飯山市の蔵元もそうですし、それ以外にも中南信地方は名水百選の水を使っている蔵元もいくつかあります。
それぞれ蔵の個性があるので、全体的な方向性を一概に言うのは難しいと思います。ただ日本酒で言えば、長野県は食生活に合わせた酒造りをしていたため、濃醇な旨口系がメインでした。芳醇で旨口系、香りもありながら旨味もある。もちろん甘味も辛味もあるけれど、どちらかというと芳醇旨口系が長野県のお酒には多くありました。
その後で人気になってきたのが、芳醇だけど軽快に飲めるタイプ。そういった流れはありますが、甘口系にこだわっている蔵元さんもあれば、辛口系を突き詰めている蔵元さんもあります。個性が豊かに出ていると思います。平成5年(1993年)に日本酒の等級制度(級別制度)が廃止になってから、徐々に蔵元さんが独自の個性を出していくようになりました。
長野県のお酒の評価が一気に上がったのは、10年ほど前からです。全国規模の新酒鑑評会や関東信越国税局管内の品評会などで「優秀賞」「金賞」「首席」といった高位の賞を受け、そこから火がついて人気になってきた側面があると思います。
日本酒以外だと、ワインとクラフトビールでしょうか。ワインは塩尻が全国的に有名ですし、それ以外でも「千曲川ワインバレー構想」に沿って東北信地方はワイナリーが増えています。千曲川流域に小規模ワイナリーを集積させる構想で、新しい産地の魅力を生み出すプロジェクト。クラフトビールに関しては、フルーツの香りなどさまざまなバリエーションの個性豊かなビールを一生懸命作っていらっしゃいます。
――その中で、高野酒店さんがある長野市周辺の特徴はいかがでしょうか?
まずは善光寺さんの門前町であり、観光の中心にもなっています。秋から冬にかけては観光客の方が戸隠神社を回って戸隠に行ってから、善光寺さんに参拝して帰られるのが一つの定番ルート。正月三が日は志賀高原でスキーを楽しんで善光寺さんに初詣して、うちでお酒を買って帰られる方も多くいらっしゃいます。
あと長野市は、1998年にオリンピックを開催した地。海外からの観光客にも「NAGANO」として広く認知されています。ただ、その当時は長野県のお酒はブランドとしての発信力が強かったわけではありません。五輪マークの商標登録を取ってワインなどのラベルに使うなどの動きは個々にありましたが、産地として大々的にキャンペーンを打ったりすることはありませんでした。
コロナ禍で外国人観光客はほぼゼロになりましたが、2023年になって客足がまた戻ってきた印象があります。お土産というよりは宿泊先のホテルですぐ飲みたくて買っていかれる方が多いです。
個人の酒店は、長野地区で150軒ほど。先代の頃には4〜5倍あったと記憶していますが、やはり後継者不足や大型量販店の隆盛といった理由が重なって徐々に減ってきています。その中でもそれぞれのお店が個性や強みを打ち出しながら、地域に根差して踏ん張っています。うちは日本酒が中心で、県内全域の蔵元さんとお付き合いがあります。他にもワインとウイスキーを売りにしていたり業務用ビールに特化していたりと、多種多様です。
長野エリアにはワインやウイスキーに強い酒屋さん、業務用ビールに強い酒屋さん…など個性豊かな酒屋さんが揃うのですね!
洋食にはワイン、お刺身には日本酒…なんだかワクワクしちゃいますね♪
【長野エリア②】に続きます。
こんにちは!さんぽくんです。
信州は日本酒・ワイン・シードルなどなど魅力的なお酒がたくさん。
だけど、「お酒ってどう楽しめばいいの?」「酒屋さんってハードルが高そう」って思っている人も多いはず。
この連載コラムでは、長野県のエリアごとに、お酒の魅力と酒屋さんの楽しみ方などを酒屋さんにインタビューする形式でご紹介します!
エリアごとのお酒の歴史、観光のヒントなんかも知れちゃいます。
このコラムを読めば、酒屋さんによく人も、行ったことがない人も酒屋さんに行きたくなること間違いなしです!